初心者向け!移動平均線からわかる売買のタイミング
『初心者向け!株価チャートからわかる売買のタイミング』では株価チャートの基本としてローソク足の見方とそれを用いた売買のタイミングの判断の仕方を説明しました。
ローソク足と同時に、株価チャートには移動平均線が表示されることがあります。移動平均線はローソク足と同じく過去の株価の動きを見ることができ、売買を行う上でよく用いられています。この記事では
- 移動平均線の見方
- 移動平均線から売買のタイミングをどう見つけるか
について説明します。移動平均線とローソク足の両方を使いこなして実際の投資に役立てていきましょう。
移動平均線とは
「移動平均線」とは、ある一定の期間までさかのぼって株価の終値の平均値を折れ線グラフにして表したものです。期間としては5日、25日、75日、200日の移動平均線がよく利用されます。実際の株価チャートではローソク足とセットで表示されることが多いです。
この画像は楽天の3か月間のチャートです。1つのローソク足の期間は1日で赤い色の線が25日移動平均線で、緑色の線が75日移動平均線です。この移動平均線は株価の指向性(トレンド)を表しており、25日移動平均線も、75日移動平均線もともに上昇していることから株価が上昇傾向にあることが言えます。
この移動平均はどのように計算されるのでしょうか?例を見て理解していきましょう。ある会社の9日間の株価が次の値だったとします。
ここから5日移動平均を求めてみましょう。このときの5日目の5日移動平均は1日目から5日目までの平均なので
(1,000+1,050+1,080+1,100+1,060)÷5=1,058
となり1,058円です。6日目の5日移動平均は2日目から6日目までの平均なので
(1,050+1,080+1,100+1,060+1,040)÷5=1,066
となり1,066円です。同じようにして7日目、8日目、9日目の5日移動平均を求めることができます。そしてそれを折れ線グラフの形で表したものが5日移動平均線です。
短期の移動平均線は短期的なトレンドを表し、長期の移動平均線は長期的なトレンドを表しています。そのため短期投資をする際には5日移動平均線を、長期投資をする際には200日移動平均線を使うというような使い分けが必要です。また1日で何回も取引を行うデイトレードでは分単位の移動平均線を利用することが多いです。
移動平均線は株式投資だけでなく、外国為替や金投資など様々な投資で利用することができます。
移動平均線と売買のタイミング
移動平均線は株価のトレンドを表しています。そのため移動平均線を見ることでから売買のタイミングの判断をすることができます。移動平均を用いた売り買いの指標がいくつかありますので1つずつ見ていきましょう。
ゴールデンクロス
「ゴールデンクロス」は短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜けることを表しています。この場合は買いのサインとして広く知られています。
このチャートがんぽ生命保険のチャートです。2018年9月ごろにゴールデンクロスとなり、そこから12月くらいまでは株価が上昇傾向にあることがわかります。このようにゴールデンクロスは相場全体の雰囲気が売りから買いに転換するポイントとなりえます。
デッドクロス
「デッドクロス」はゴールデンクロスとは反対に長期の移動平均線が短期の移動平均線を下から上に抜けることを表しています。この場合は売りのサインとして広く知られています。
このチャートはソニーのチャートです。2018年11月にデッドクロスとなり、そこから2019年3月くらいまで株価が下降していることがわかります。
ここまでゴールデンクロスとデッドクロスについて見てみました。どちらもシンプルで使いやすいですがゴールデンクロス、デッドクロスを使って売買をするときは注意する点があります。それが次の2つです。
- 短期投資よりも長期投資のほうが有効的に利用できる
- 下げ相場のゴールデンクロス、上げ相場でのデッドクロスは見せかけの可能性が高い
ゴールデンクロスとなったからと言ってすぐに株価が上昇するわけではありません。そのため短期投資ではほかの指標を使うことをオススメします。また、下げ相場のときのゴールデンクロスは維持的に株価が上昇しても長期的にはさらに株価が下降する場合が多いです。
乖離率
「乖離率」とは現在の株価が移動平均線からどれだけ離れているかをパーセント表示したものです。現在の株価が1,200円でそのときの移動平均が1,000円のとき乖離率は
(1,200-1,000)÷1,000×100% = 20%
となります。また現在の株価が移動平均よりも安い場合、たとえば現在の株価が900円でそのときの移動平均が1,000円のとき乖離率は
(900-1,000)÷1,000×100% = -10%
となります。このように乖離率は株価が移動平均よりも高いか安いかでプラスとマイナスの値を取ります。乖離率がプラスに大きくなると売り、マイナスに大きくなると買いを表しています。
乖離率は株の「買われすぎ・売られすぎ」の判断となる指標であり、乖離率がプラスに大きい場合は「買われすぎ」を表しています。そのため今後の株価は移動平均に引っ張られる形で下降するだろうという判断ができます。乖離率がマイナスに大きい場合は「売られすぎ」を表しています。そのため今後の株価は上昇するだろうという判断ができます。
乖離率がどれくらいプラスになれば株価が下降して、どれくらいマイナスになれば株価が上昇するのかという明確な基準は残念ながら会社によって変わってきます。この場合、その会社の過去の乖離率を見て、どれくらいプラスになれば株価が下降して、どれくらいマイナスになれば株価が上昇するのかを自分で判断するのが良いでしょう。
まとめ
ここでは株価チャートに表示される移動平均線に関して
- 移動平均線は株価チャートでローソク足とともに表示され過去の株価の傾向を知ることができる
- 移動平均線が株価のトレンドを表すため、移動平均を用いて売買の判断ができる
ということを解説しました。ローソク足と移動平均線は株の売買をタイミングを判断するうえで非常に重要な要素です。しっかりと理解して実際の投資に役立てていきましょう!